泌尿器科|とわ動物病院|千葉県柏市、南柏駅西口から徒歩5分

〒277-0854
千葉県柏市豊町1-1-12 ケーズグレスト柏1階
04-7199-8562
ヘッダー画像

泌尿器科

泌尿器科|とわ動物病院|千葉県柏市、南柏駅西口から徒歩5分

以下の症状がある方は、一度ご相談ください。

  • 水を飲む量が多い
  • おしっこが出ない
  • 何回もトイレに行く
  • 血尿が出た

泌尿器の病気

代表的なものに膀胱炎、尿路結石、腎不全、猫の特発性下部尿路疾患(FLUTD)などがあります。
腎不全の場合、初期の段階では症状が分かりづらく発見が遅れることがあります。
一般的には徐々に進行していきます。そのため、定期的に腎臓の評価をしていくことが重要となります。
主な検査として尿検査、超音波検査、血液検査などがあります。
また尿石症の場合はおしっこに血が混ざったり、おしっこする時に痛がるという症状が急に見られることがあります。
さらに尿道の途中に結石などが詰まるとおしっこが全く出なくなることもあります(尿道閉塞)。
これは特に肥満の雄の犬・猫に多く見られます。尿道閉塞の場合、緊急性が高いのですぐにご来院下さい。

検査方法

  • 尿検査
  • 超音波検査
  • 血液検査
  • レントゲン検査
  • 血圧測定

治療の特徴

  • 療法食
  • 内服薬
  • 点滴
  • 手術
  • サプリメント

これらを組み合わせながら治療を行っていきます。

診察の流れ

1.問診

まず初めに飼い主様に詳しい症状のヒアリングを行います。

  • 「いつから症状が始まったのか?」
  • 「おしっこは出ているのか?」
  • 「食欲・元気はあるのか?」

泌尿器の治療を行うにあたり、飼い主様からの情報が非常に大切となりますので、少しでも気になる点がある場合には詳しく教えてください。

2.身体検査

全身の一般状態の確認に加え、外部生殖器や排尿行動の観察を行います。
さらに触診による腹部の痛みの有無、腎臓と膀胱の大きさや形状などの確認を行います。

3.検査・治療の提案

大まかな状態が把握できたら、飼い主様に治療や検査の提案を行います。
採尿は基本的に院内で行います。
超音波検査で膀胱や腎臓などの内部状況を評価します。
必要に応じて血液検査で腎臓の機能を検査したり、レントゲン検査で結石の有無を評価します。
検査結果基づき治療を開始します。
膀胱炎や尿石症は飲み薬だけでなく、食事の変更が必要となることがあります。
また、猫ではトイレ周りの環境の改善が重要となります。

代表的な泌尿器の病気

慢性腎臓病

【概要】

慢性腎臓病は包括的な疾患定義であり、腎臓の構造と機能の異常が長期間続けばすべて慢性腎臓病と診断される。
犬では免疫複合体性糸球体腎炎、腎アミロイドーシス、尿細管間質障害などの病理学的にバリエーションが多く、そのため同じ慢性腎臓病でも徴候や進行の程度がさまざまである。
臨床徴候はさまざまであり、多飲多尿および脱水の程度も症例によって異なる。
糸球体疾患を持つ犬では、重度の蛋白尿示すことが多い。慢性腎臓病の中期から後期にかけては尿毒症の徴候が見られ、食欲不振や嘔吐を示すようになる。
尿毒症とは腎臓の機能不全(腎不全)で起きる徴候全てを指し、消化器系、免疫系、血液系、循環器系、神経系、内分泌系など全身にさまざまな影響を及ぼす。
特に犬では膵炎などの消化器疾患を併発することが多い。

猫ではほとんどの症例で初期から多飲多尿が起こり、進行すると脱水による脱水よる体重減少が認められる。
中期から後期にかけては、尿毒症の徴候が見られ、食欲不振や嘔吐を示すようになる。
診断に関しては、「慢性」と診断することがもっとも重要である。血液検査でBUN、クレアチニン値の上昇が認められても、一度の検査で慢性腎臓病とは診断できない。
全身状態、基礎疾患、治療歴などを精査し必要な治療を行いながら定期的な検診を繰り返す。
この検診には血液検査だけでなく、尿検査、X線検査および超音波検査、血圧測定が含まれる。
蛋白尿は腎臓の機能異常の徴候であり、非感染性の蛋白尿が持続する場合は、血液検査や画像検査で異常がなくても慢性腎臓病と診断される。
とくに筋肉量の少ない小型犬や高齢犬では、腎機能が低下しても血漿クレアチニン値が上昇しないことがある。
この場合、SDMA(symmetric dimethylarginine)の測定により腎機能を推定する。
慢性腎臓病と診断された場合は、IRIS(International Renal Interest Society)の推奨するステージ分類およびサブステージ分類を行う。

犬の慢性腎臓病のステージ分類、推奨治療、および高リン血症の治療目標
ステージ 血漿クレアチニン値 SDMA 推奨治療 血漿リン濃度の目標値
ステージ1 1 <1.4mg/dL <18μg/dL 基礎疾患と進行リスクの評価及びその治療 <4.5mg/dL
ステージ2 2 1.4~2.8mg/dL 18~35μg/dL 基礎疾患と進行リスクの評価及びその治療 <4.5mg/dL
ステージ3 3 2.9~5.0mg/dL 36~54μg/dL 上記+対症療法 <5.0mg/dL
ステージ4 4 >5.0mg/dL >54μg/dL 対症療法(QOLの維持) <6.0 mg/dL
猫の慢性腎臓病のステージ分類、推奨治療、および高リン血症の治療目標
ステージ 血漿クレアチニン値 SDMA 推奨治療 血漿リン濃度の目標値
ステージ1 1 <1.6mg/dL <18μg/dL 基礎疾患と進行リスクの評価及びその治療 <4.5mg/dL
ステージ2 2 1.6~2.8mg/dL 18~25μg/dL 基礎疾患と進行リスクの評価及びその治療 <4.5mg/dL
ステージ3 3 2.9~5.0mg/dL 26~38μg/dL 上記+対症療法 <5.0mg/dL
ステージ4 4 >5.0mg/dL >38μg/dL 対症療法(QOLの維持) <6.0 mg/dL

慢性腎臓病の維持管理には、基礎疾患、併発疾患および進行リスクの評価が重要である。
犬では心疾患や消化器疾患(とくに膵炎)が基礎あるいは併発疾患として存在している事が多い。
猫では感染症のチェックが必要となる。猫免疫不全ウイルスおよび猫白血病ウイルスだけでなく必要に応じてヘルペスウイルス、カリシウイルスの検査も行う。
歯肉炎も進行リスクとなることから、口腔内のケア、必要に応じて歯科処置も重要となる。尿石症や細菌性膀胱炎が併発していることも多い。
ステージ2以上の症例では嗜好性に問題がなければ腎疾患用の療法食を使用する。

口腔衛生の維持が可能ならばウェットタイプを推奨する。特に猫では多尿により脱水傾向を示す症例が多いため。
そのため適切な水和を維持するために自宅での水分摂取量を上げることが重要である。
器の材質の変更や飲み場の数を増やす、頻繁な水の交換、ウォーターファウンテンの併用などがある。
このような工夫を行っても適切な水和が維持できない症例では皮下点滴を実施する。

高血圧の診断と治療に関して2018年にACVIMのガイドラインが改変された。
そのため、こちらのガイドラインを参考にしつつ治療を行っていく。
犬、猫共に収縮期血圧が2週以上180mmHgを超える症例では降圧治療を行う。
犬ではACEIを第一選択とする。
投薬開始後、定期的な検診を行い収縮期血圧が180mmHg以下となる薬用量を決めていく。
全身状態の悪化、低血圧あるいはクレアチニン値が0.5mg/dL以上の上昇が認められた場合は休薬する。
ACEIで治療がうまくいかない場合はアムロジピンを併用する。
猫ではアムロジピンベシル酸塩を第一選択とする。
犬と同様、定期的に検診を行い適切な薬用量を決めていく。
複数回の検診で高リン血症を示す症例ではリン吸着剤を使用する。こちらはさきほどのガイドラインを参考にしながら投薬を行っていく。

慢性腎臓病が進行すると「腎性貧血」を起こすことがある。特に猫では認められることが多い。
非再生性かつ正球性正色素性貧血を示す場合、腎性貧血を疑うが、可能な限り血清鉄の測定を行い鉄欠乏性貧血の除外を行う。
鉄欠乏を認める場合は、デキストラン鉄の筋肉内投与および消化管保護薬の内服による治療を行って経過を見る。
腎性貧血と診断した場合、ヘマトクリット値が20%以下となったところでダルベポエチンアルファの投与を開始する。
また、慢性腎臓病が進行すると尿毒症によりさまざまな臨床徴候が認められる。
食欲不振を示す猫では、食欲刺激剤としてミルタザピンを投与する。嘔吐が認められる症例では制吐薬を使用する。

尿石症

【概要】

尿路結石症(尿石症)とは尿路の部位に関係なく、結石形成の原因とそれによって及ぼされる影響に関する症候群である。
尿路系は身体の水溶性老廃物の排泄路であり、各種ミネラルなどの老廃物が過剰になると結晶化して沈殿する。
さらに、結晶化したミネラルが尿路系に停滞する有機物と結合して結石を形成する。
形成された結石は、発症部位にもよるが、炎症の原因を作ったり、尿路の閉塞の原因となったりする。
結石ができるということ現象は同じであるが、結石が発生する病態に関しては、個々の結石のミネラル組成により全く異なっており、その治療法、予防法に関してもミネラル組成により異なったものとなる。

【診断】

診断は、病歴、身体検査による典型的な所見に基づいて行われる。
しかし泌尿器科疾患の一般的な臨床徴候は血尿、頻尿、排尿障害、および有痛性排尿に代表されるように非常に似ている。
尿検査、尿培養、超音波検査、X線検査などによる詳細で総合的な検査によって、初めて尿石症、尿道栓子、尿路感染症(UTI)、特発性下部尿路疾患(LUTD)、もしくは尿路系腫瘍性疾患などと鑑別できる。
特発性下部尿路疾患と診断された猫のうち、詳細な検査で約5-20%が結石症であったという報告も存在します。

結石の有無の診断は比較的容易にできるが、問題はその結石ミネラル組成を診断することであり、この組成は発生部位と密度や形状、尿PH、尿沈渣の顕微鏡観察により推定できる場合もあるが、外科的な摘出による結石の分析によって初めて確定できる場合も少なくない。

犬と猫の尿石症は、ストルバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症で全結石の9割を占めている。
現在の状況ではストルバイト尿石症とシュウ酸カルシウム尿石症の発生率は猫では1:2程度、犬ではほぼ等しくなっている。
また発症年齢でもミネラル組成の傾向が異なり、若齢ではストルバイト尿石症、高齢ではシュウ酸カルシウム尿石症が圧倒的に多くなる傾向にある。
犬のストルバイト結石症は猫と異なり圧倒的に尿路感染症に付随して起こる感染誘発性の結石症である。
このため、治療は感染があるかどうかを特定することが重要である。

一方、猫は犬と異なり尿路感染症の発生が少なく、ストルバイト結石症の約90-95%は非感染性(無菌性)ストルバイト結石症で占められている。
その原因は圧倒的に食事性の結石症であり、治療法または足初防止を考えるうえで食事管理が最も重要と考えられる。
治療上ストルバイト結石は溶解可能な結石であるのに対して、シュウ酸カルシウム結石は溶解が困難である。そのため2つの結石は明確に区別される必要がある。

診断上の重要なポイントの1つに結晶尿症の考え方がある。
猫の結晶尿症は結晶原性物質が過飽和である尿を意味し、オス猫の場合、尿中の結晶が極端に多くなれば尿路閉塞を起こす原因にもなる。
オス猫のもう一つの特徴は、尿道栓子の存在である。
尿石は90-95%以上のミネラルと少量のマトリクスで構成されている多結晶性結石である。
しかし尿道栓子は少量のミネラルが混じった多量のマトリクスで構成されている。
この尿道栓子も尿道閉塞を起こすものとして尿石症と同等に扱われる。

【治療】

治療方針の選択は、結石が存在する場所と発症している症状に依存して行うことになる。
例えば結石が尿管や尿道を閉塞して腎後性の高窒素血症を起こしている場合は緊急対応が必要となり、早期の結石摘出と摘出後の輸液療法による高窒素血症の改善が必要になる。
また、結石が比較的閉塞を起こし難い膀胱にあり、ストルバイトであることが予想される場合は、内科的溶解療法や食事療法も含めたゆっくりとした対応が可能となる。
したがって、治療方針としては緊急性がある場所かどうか鑑別し、次に結石が溶解可能な結石かどうか鑑別した後に治療に入る。

ストルバイト結石の場合、溶解療法を選択することが多い。
食事療法の鍵となる要因は、尿のPHを6.0-6.3以下に低下させること、そしてマグネシウム制限食を摂取させることにより尿中マグネシウム濃度を低下させることがある。
ストルバイト尿石溶解用療法食は尿量を増やす目的でナトリウムやカリウムのイオンバランスを調整しているものが多くなっている。

シュウ酸カルシウム結石の場合、溶解が困難なため外科的な摘出を考慮する必要がある。
尿道を通過できる大きさの膀胱結石は加圧排尿法により除去できることがあるが、それ以上の膀胱結石の場合は、膀胱切開による摘出が第一選択となる。
しかしシュウ酸カルシウム結石が腎臓にある場合は、比較的長期間(数ヶ月~数年)にわたり臨床的に活動性のない場合があり、さらに結石摘出のために腎機能を損なうリスクが不可避となる。
このため、結石に起因して重度の臨床症状を呈している場合に限り、外科的摘出が選択されることになる。シュウ酸カルシウム結石を除去しても治療がそこで終わるわけではない。
再発を予防するためには高比重尿、過シュウ酸尿症、過カルシウム尿症、シュウ酸カルシウム形成阻害因子の減少と、主にこれら4つの改善を行っていく必要がある。

ストルバイト溶解・予防用の療法食を使用しているならばそれを中止してもらい、食事中のカルシウム、シュウ酸、ナトリウムを減少させ、リンとマグネシウムを適正化した食事に変更する。
その上で水分摂取量を増加させ、尿量を増やし、尿中のシュウ酸・カルシウム濃度が過飽和にならないように気をつける。
食事を変更した後は2~4週ごとに尿検査を実施し、尿比重が1.030付近であること、尿中にシュウ酸カルシウム結晶が出ていないことを確認する。

インスタグラム
Top