消化器科
消化器科
消化器の病気は主に胃腸の病気のことを指し、下痢や嘔吐などの症状で来院されることが多いです。
ひとくちに「下痢や嘔吐」と言ってもさまざまな症状の現れ方があり、数日でおさまる急性のケースから、1ヶ月以上も続く慢性的なケースもあります。
急性の場合、季節の変わり目や誤飲、飼育環境の変化、ストレスなどが要因として考えられるケースが多いです。
一方、慢性の場合には消化器の炎症や腫瘍、アレルギーが要因であるほか、ペットの命にかかわる病気である「膵炎」の可能性も考えられます。
犬種・猫種、年齢などによっても、かかりやすい病気の種類は異なります。
「すぐ治るだろう」と放っておくのではなく、原因を突き止めて治療を行うことが大切です。
元気で食欲があるような場合には、症状に応じて抗生剤、整腸剤などで治療を行います。
食事やサプリメントで管理できる場合もあります。
慢性のケースや状態不良の場合には、検査を行い、検査結果に沿った治療を行います。
まず初めに飼い主様に詳しい症状のヒアリングを行います。
飼い主様からの情報が診療の手助けになるので、少しでも気になる点がある場合には、詳しく教えてください。
※当日の便を持参していただくと検査をスムーズに行いやすくなります。
急激に体重が減少していないか体重を測定し、消化器の病気では起こりやすい脱水症状がないか、おなかが張っているか、痛みはあるか、などを触診でチェックします。
大まかな状態が確認できたら、飼い主様に治療や検査の提案を行います。
ここまでの流れの中で状態がそれほど重度ではないと判断される場合には、検査は行わずに内服薬で対症療法を行うこともあります。
検査が必要となる場合にも、可能な限り負担の少ない検査を提案させていただきます。
治療や検査が高額になる可能性がある場合には、おおまかな費用の説明も行います。
まず膵炎のリスク要因としては肥満や食事が考えられます。特に高脂肪食は膵臓に負担となります。
また、高齢の動物でよく見られる副腎皮質機能亢進症や甲状腺機能低下症などのホルモン疾患や、糖尿病もリスク因子として挙げられます。
膵炎の主な症状としては腹痛、嘔吐、食欲不振です。【祈りのポーズ】という伏せの状態からお尻だけをあげる姿勢が見られることもあります。
膵炎を診断するには、他の病気を除外しながら進めていきます。
問診で誤食が無いかを確認をし、触診で上腹部の痛みがないか確認します。
血液検査では白血球数の上昇、CRPと呼ばれる急性炎症蛋白の上昇、リパーゼの上昇、アルブミンの低下などが認められます。また外部の検査で膵特異的リパーゼという免疫活性の測定を調べることが出来ます。
レントゲン検査で膵炎を特定することは困難ですが、異物の有無を確認するのに行ったりします。
腹部超音波検査では膵臓の腫大や膵臓周囲の炎症、腹水の有無の確認を行うことが出来ます。
急性膵炎の場合、治療は点滴がメインとなります。残念ながら特効薬がないのが現状です。
また、点滴の他に制吐薬や鎮痛薬を併用することもあります。急性膵炎は治療に時間がかかる場合があります。そのため入院が必要になることもあります。
近年では、初期の膵炎に対して用いる新薬が登場してきました。これを上記の治療に併用することで、重症化を防ぐ可能性が示唆されました。
食事に関しては低脂肪食が必要となります。
動物は色んなものを口に入れます。それは家の中やお散歩中とどこでも起こりえます。美味しい物や面白いもの、興味をそそられるものは沢山あります。
飲み込んでも吐き出してくれる、あるいは便と一緒に出てくれれば問題にならないこともあります。しかし、万が一お腹のどこかで詰まってしまうと、開腹手術となってしまうことがあります。その場合、全身麻酔が必要となります。
特に1才未満が非常に多いという報告があります。
また、誤食で怖いのに中毒があります。
これらは摂取した量にもよりますが、危険な状態となることがあります。
もし食べたことが分かっている場合、病院へ一度来院してください。